華麗なる復讐

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良太は自信ありげに京香の背中をバンと叩く。 「痛いよ……良太」 「ゴメン。力、入りすぎちゃった……」 京香は再び会社の業務内容などが説明されている資料に目を落とした。 それから、佐々木の名刺を取り出す。 電話をかけたらすぐにつながった。 会社訪問の希望を伝えると、すぐに日時が決まり、京香は電話を切った。 その途端、手に持っていた電話がぶるぶるっと震えてキンコンカンコンと鳴り出したので、ケータイを振り落としそうになる。 慌てて、掴んで電話に出ると、それは、待ちに待ったエリカからの電話だった。 「今から先輩のとこに行きますからね! 楽しみにしててくださいよー」 それだけ言って、エリカの電話は切れた。 相変わらずイキナリだな、なんて思いながら、突発型なのは良太と同じかも、と気がついてなんだかおかしくなる。 エリカも良太もパワフルで思いこんだらまっしぐらだ。 自分を信じて突き進むエネルギーは京香にはないものだった。 程なくしてエリカは息せき切って京香のマンションに突入してきた。 相当興奮している。 「先輩の探していたものって、これでいいんですか?」 エリカは、鞄の中から茶封筒を取り出した。
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