華麗なる復讐

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中には、分厚いコピー用紙の束が入っている。 京香が頼んでおいた、エレクトロニクス事業部に関するもろもろの書類だった。 「どんなのがあるのかよくわかんないんで、それっぽいのを適当にコピーしたんですけどォ」 チラリと見ると、まさに京香の求めていたファイルだ。 「これ、財菅部の資料室からの書類でしょ? どうやって手に入れたのよ」 京香が尋ねると、エリカは顔をキラキラさせながら語り始めた。 「もー、アタシ、仕事始めてから会社にいくのがこんなに楽しかったことって今までなかったですよー!!  会社のヒミツを探るなんて、ドキドキしました」 *** 京香からの密命を受けたエリカは、早速資料室の鍵を入手する方法を模索した。 ここには、過去の主だった財務関係の資料がきちんとファイル保存されている。 さらに会計処理などの細かい記録は、電子データで保管されており、特定の社員だけがアクセスできる仕組みになっていた。 しかし、ただの派遣にすぎないエリカには、電子データにアクセスすることはもちろん、資料室を入室する必要も資格もない。 取り扱い厳重注意のファイルもあるので、入室するには課長の許可が必要だった。
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