華麗なる復讐

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鍵をもらって早速資料室に入って、目当てのファイルを探しまくったらしい。 「桑原さんには、少なくとも二時間は秋山さんを釘付けにしておくようにって頼んだのに、一時間ちょっとで戻ってきたから、焦ったの何のって!」 「えー、桑原さんもグルだったの?」 「当たり前じゃないですか。でなきゃ、あんなにタイミングよく問題の電話がかかってくるわけないじゃないですか」 やっぱり、桑原は何か掴んでいたのだ。 「間一髪で、秋山さんにバレる前に、課長に鍵を返せました。  ……っていうか、違う鍵を渡したんですけど」 「えーー!?」 「資料室の鍵って、ロッカーの部屋の鍵とスッゴク似てるじゃないですかー?  だから、鍵を入れ替えて、資料室の鍵の方を私が持ってたんです」 「アンタって……結構大胆……」 「二日後かな、資料室のファイルを間違えて、机の引き出しの中に入れっぱなしだったの忘れてましたー、戻したいんですけどー、とか言って、また鍵をもらって入れ替えたんですよぉ。  ま、課長はいい加減だから楽勝でしたー。  ……ってか、その間、誰も資料室行かなかったんで大事にならずに済んで良かったですヨ」 「……」 エリカ、恐るべし。 この大胆さ。
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