華麗なる復讐

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「で、昨日の夜、帰るフリをして、こっそりトイレに待機してたんですよー。  まあ、いつ人が来るかとドキドキしてましたけど……  女子社員って先輩以外一般職ばっかだったじゃないですか。  だから、7時すぎにはみーんないなくなっちゃいましたよ。  8時すぎにはほとんど誰もいなくなってたんで、再び資料室にこっそり忍び込みましたー」 「申し訳ない。面倒なことさせちゃって」 「何、言ってるんですかー。  アタシ、社会人になってから、会社に行くのがこんなに楽しかったの初めてですよ!  朝、起きたら、どうやって資料室に入ろうか、イロイロ作戦練ったりしてめっちゃ楽しかった。桑原さんをどうやって引き込もうとか、考えてたらワクワクしましたもん!!」 「そ、そう……そりゃ、良かったね」 「ハイッ!」 京香はエリカから受け取った書類に目を通した。 ーーやっぱり…… 巧妙に操作されているので、単年度だとわかりづらいが、過去数年のデータを並べて、数字を追うと明らかに売上高と利益が不自然なのがわかる。 特に、今まで、京香が見落としていたGECデバイスとの取引の詳細がわかるデータを眺めていると、数字の動きが明らかにおかしかった。
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