華麗なる復讐

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その時のアカが解消されなければ、次の決算前にはさらに価格を釣り上げて部品を卸す、というワケだった。 取引の詳細を見ると、調達する部品はそれほど増加していないのに、GECデバイスに対する売上高は倍増している。 それはとりもなおさず、GECデバイスに部品を売却するときの価格を釣り上げているという証左であった。 釣り上げ価格は機密事項なので簡単には表に出てこないのを利用した会計操作だ。 それが積もり積もって、電子機器部門は直近の営業利益が販売高を上回っている。バレないので、改ざんする数字がどんどん大きくなっていったのに違いない。 よくもまあこんなごまかし方をしていたものだ。 エレクトロニクス事業部の中の部門ごとの細かい数字は京香のところには回ってこないとはいえ、見抜けなかったことが、京香には悔しくて仕方がなかった。 それにしてもこれでは数字がおかしいと思うのは当然であった。 恐らく、最初は一時しのぎの苦し紛れで始めたことだったのかもしれない。 それが少しずつ積み重なり、今ではそれだけでは隠しきれず、他にも水増し操作が行われている。 ーーどこかに、部品の調達価格や釣り上げ価格の詳細なデータがあるはず……   それに、実際の在庫数と価格を記録したもの、恐らく裏帳簿とも呼べるような記録があるに違いない。
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