華麗なる復讐

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「はい。  ノルマはないですけど、常に、お客様を探してクライアントになっていただけるように働きかけることはもちろんやっていただきます。  もっとも、コンサルティングの成果が上がれば、お客様の方から依頼がくるようになりますから、やはりきちんと仕事をすることが一番重要なんですが」 小さな会社なだけに、特定の業務だけでなく、多岐にわたる仕事を任されるようだ。 裁量の範囲が広い。 その分、自分の力がどこまで通用するか、存分に試されることになりそうだった。 しかし、社の雰囲気は悪くなさそうだし、京香がチラリと見ただけでも、働いている社員たちの熱気も伝わってくる。 京香はある決意をして、佐々木に話しかけた。 「素晴らしい会社だということがわかり、私も興奮しております」 「では……我が社に……?」 「もう少し、詳しくお話させて頂いてよろしいでしょうか?」 「もちろんです! では、どうぞ、こちらへ」 佐々木は、京香を会議室へ案内した。 勧められた席に着くとにわかに緊張してきた。 ーーこんなハッタリ、かましちゃって大丈夫だろうか……?   呆れられて、追い出されるんじゃないか? 内心の不安を悟られないように、お腹にぐっと力を入れる。
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