華麗なる復讐

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「大丈夫だよ……」 耳元で聞こえてくる良太の声に励まされて、佐々木をまっすぐに見つめ返した。 「これ……、これは、私が、以前GECにいた時の収入です」 京香は、ゆったりと笑う佐々木の前に、おもむろに給与明細を差し出した。 「ですので、佐々木さんのご提示頂いた金額では正直言って低すぎると思っております」 「私もその点は大変心苦しく思っているのですが、いかんせん、弊社はいわゆるベンチャーでして、GECさんのような一流大手企業のような条件はとても出せないのが現状でして……」 「それは私の方でもよく理解しております。  でしたら、ご提案の金額から1.5倍ほどでいかがでしょう。  ……このくらいになりますでしょうか」 京香は電卓を叩いて金額を弾いた。 「……なかなかきわどい数字をおっしゃいますねぇ」 「事業報告書を拝見する限りでは、そのぐらいが妥当だと思いますよ。  というか、本当は2倍ぐらいいただいてもいいと思っています」 「これはまた……  しかし、我が社の売り上げはご覧になりましたよね? でしたら、厳しいことはおわかりになると思うのですが」 「ですから、お伺いしているのです。  私が、御社に入れば、簡単に売り上げは倍増するでしょう。  ですので、本来は2倍、と言いたいところですが、1.5倍、それに、ストックオプションをつけていただければ、と思います」
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