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「ストックオプション……ですか」
「ええ。業績へのインセンティブとしては申し分ないと思いますけど?」
「株の上場なんて夢のまた夢、ですよ?」
「私が、夢の実現へのお手伝いができると思いますが?」
佐々木は呆れたようにクスリと笑う。
「これはまた大きく出ましたね」
「私は、事実を言っているだけです。
御社の方針は素晴らしい。私も、佐々木社長のお考えに全面的に賛成していますし、事実、業績も伸びているではありませんか。
このような会社で、存分に働くことができたなら、誰だって喜んで精一杯尽力することでしょう。まして、私は、財務のプロです」
佐々木は声をあげて笑った。
「五十嵐さんもなかなか言いますね。その強気なところも大いに気に入りました。
わかりました。……おっしゃる条件にいたしましょう」
「もう一つ、お願いがあるのですが」
「まだあるのですか?」
「はい。 半年後に役員待遇にして頂きたいのです。
もちろん、成果次第、ということで結構ですが」
佐々木に強い視線を送ると、佐々木は、観念したように京香を見定めた。
「……あなたには敵いませんね。ずい分と優秀な営業マンになりそうだ。
承知しました……あなたの条件、全て受け入れましょう。
一緒に会社を大きくしていきましょう。お手伝いしていただけますか?」
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