華麗なる復讐

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にっこり笑って右手を差し出す。 京香もその手をぎゅっと握り返して微笑んだ。 ここまで決まってしまえばあとは早い。 すぐにでも働き始めたい京香は、次週の月曜日から出勤することで話はまとまった。 早く帰って、良太に報告したい。 アイツは何て言うだろう? 良かったねー! さすがだねー!! なんて言った後に、じゃ、ボク、コンビニ辞めちゃおっと、なんてあっさり言いそうだ。 それは困る。お荷物を家で飼っておくわけにはいかないのだ。  あ、でも、しばらくはそれでもいいか、別に。私が働けばいいんだし。 ……なんて思って、ちょっと浮かれすぎている自分に気がついて恥ずかしくなる。 スキップせんばかりにマンションに帰ったら、入り口のところでばったりカネダさんに会った。 心なしかカネダさんの顔がにやにやしているように見える。 「よー! ねーちゃん、良かったなぁー」 「は? そうなんですよ! ようやく転職先が決まって」 ……って何で、カネダさんは知ってるんだろう、と思いながら返事をしたら、カネダさんがボフッと吹いた。 「違うよー、良ちゃんだよー。  元気で何よりだよなー」 「ああ……」 ーーそっちか。
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