華麗なる復讐

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そうだった、確かにそんなことを言ったこともあった。 それで、ある時、急に料理がうまくなってたのか……サユリさんに手取り足取り教えてもらってたに違いない。 合点がいった。 「あーあ、それにしても、今日はうんとご馳走作って京香さんを驚かそうと思ってたのになー」 良太はガッカリした顔を隠そうともしなかった。 「ご馳走? 何で?」 京香が思わず聞き返すと、サユリさんがニッコリ微笑んで説明した。 「アナタにすごくピッタリのいい仕事が見つかったから、お祝いするんだー、って張り切ってたのよ、良ちゃん。  ご馳走が並んでたらびっくりするかなーって、二人で献立を考えて」 「そうだよー。だから、今日は店長に頼み込んで、特別に午後からは休みにしてもらったのに……」 良太はふてくされたような声を出した。 「まあまあ、良ちゃんも、そんな声を出していないで、これ、仕上げちゃいましょう。  そして、お部屋に持って帰って二人でお祝いしてらっしゃいな」 「あの、……中嶋さんは?」 「あら、私は、いつものようにお父さんと晩酌するつもりよ」 サユリさんは仏壇に視線を移した。
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