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「あの……ご迷惑でなければ、中嶋さんも一緒に……どうですか? って、全部中嶋さんに作っていただいて、こんなこと言うのも図々しい話なんですけど」
「お邪魔虫じゃないかしら?」
「いえ、そんな! 全然!」
京香が強く言い返すと、やっぱりサユリさんはにこやかな顔で、
「じゃ、ここで三人で食べましょうか?」
と言い、どこか他の部屋に行ったと思ったら、シャンパンを持って戻ってきた。
やけに洒落たおばあさんだ。
「お祝いさせてもらっていい?」
サユリさんは四つグラスを出してきた。
「お父さんも仲間に入りたいでしょうから」
サユリさんが恥ずかしそうに言った。
それからサユリさんの指示で、良太が料理を仕上げ、その間に、京香はテーブルを整え、サユリさんは出来上がった料理を次々と綺麗に盛り付け、瞬く間にテーブルの上にはご馳走が並んだ。
サユリさんは自分も作業しながらも、無理なく無駄なくわかりやすい指示を出していく。
なるほど、サユリさんに仕込んで貰えば、バカでも……いや、良太でも、料理ができるようになるのだな、と京香はひどく感心した。
「かんぱーい」
程なくして食卓が整うと、三人はグラスを掲げた。
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