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「そう、アナタ、全然、大丈夫じゃないわよ?
そういう時は、素直に差し伸べられた手をつかまなくちゃ。幸せも逃しちゃうわよ?」
「ひゃ? サユリさん、にゃ、にゃにを言っちゃてるんですかー?
それじゃ、まるで私が……」
ーー良太を好きみたいじゃないか……
酔っ払って頭が回らない。
そのまま、良太の顔をじっと見た。
ーーどうしよう
……どうしよう。
か、顔が……
「京香さん、とりあえず帰るよ。じゃ、サユリさん、おやすみなさい」
良太は、京香をひょいと抱きかかえて部屋に向かった。
ーーりょ、良太が、わ、私を抱っこしている!?
っていうか、ちょ、ちょっと待て! これは世に言うお姫様抱っこというヤツじゃないのか!?
目を開けると、バッチリ良太と目が合う。
反射的に目を背けた。顔がカーッと熱くなる。
だけど……
溶けるようなこの気持ち良さはなんなのだろう。
なんとも言えない安心感。
ドアを開けた瞬間、良太の腕から降ろされるのだと気づいて、京香はひどくがっかりした。
ーーもう少し、もう少しだけ、このままで……
「ベッドでいい?」
良太は京香をそのまま寝室まで運んで、ゆっくりと京香をベッドの上に下ろす。
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