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「だから!! その……」
京香はうつむいてその先を続けられなかった。
良太の顔がにやにやしている。
「なーにー? はっきり言ってくれなきゃ聞こえないよー?」
「はっきり……って……」
「京香さん、般若の顔でサユリさんのところに駆け込んできたもんねー
『こそこそ隠れて、何、浮気してんのー?』って。
ねぇねぇ、それって、どういうイミー?」
「いや、だから、それはその……」
「こうなったら、今晩は逃がさないからね! ボクはずっと待ってたんだ」
「の、逃さないって……」
良太はじぃっと京香を見つめた。じりじりと迫ってくる。
良太の瞳にすいこまれそう。
息もできないほど。
「京香さん。あれは……サユリさんのところにきた時のあのセリフは、どういうつもりで言ったの?」
「わ、わかるでしょっっ……」
後ずさりしながら反撃を試みるが、全く迫力がなかった。
「わかんないよー、ちゃんと言ってくれなきゃ」
手をついてじわじわ近づいてくる良太に後ずさって、京香はベッドの端に追い詰められた。
「だから! す……」
「ホラ、ちゃんと言ってくれなきゃわかんないからねー」
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