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秋山は(自分がちょっと可愛く迫ればイチコロだと思っていた)エリカの予想以上に慎重だった。
エリカに資料室に行かせるようなお使いも頼まなかったし、もちろん、財菅部で管理している電子データにアクセスする術などエリカは持っていない。
そもそも、そんなところにお目あてのデータがあるか、ということすらも怪しかった。
エリカが、例のカレシ(推定)に相談してみると、そんなところにあるはずないだろう、とあっさり言う。
「だって、考えてもみろよ。
資料室にあったら、抜き打ち検査とか、査察が入ったら一発でバレるんじゃないの」
「確かにねー、じゃ、どこに?」
「どこかに私的に隠してるんじゃない。それに、ソイツのパソコンにもデータは入ってるかもなぁ。会社のパソコンとかじゃなくて、個人的に使ってるヤツかなんかにこっそり隠してるとか」
そう言われて、エリカがひょっと思い浮かんだのが、秋山がいつも使っている彼個人のノートパソコンだ。
時々、会社のパソコンの隣にそのパソコンを並べて仕事をしていることがある。
特に、朝早く来た時とか、夜遅くに残業してる時はそのパソコンを使っていることが多かった。
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