華麗なる復讐

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「吉岡の弁当を断る男なんていないだろ?」  いつものように爽やかな軽やかな返答。 「……いえ、誰かのためにお弁当を作ったのなんて初めてです」  エリカは顔を真っ赤にさせた。  秋山もさすがに驚いた顔になった。 「わざわざオレのために?」 「……はい」  エリカは秋山に弁当を押し付けて逃げるように自分の席に戻った。  その日の昼、秋山は一人会議室で弁当を食べていたのをエリカは確認する。  もちろん、パソコンをお供にしている。  エリカは秋山が一人なのを確認して会議室のドアをノックした。 「コーヒー、どうですか?」  エリカが秋山の後ろに立つと、秋山はさりげなくパソコンを閉じる。 ーーやっぱり……コソコソしててちょっと怪しい……  内心思っていることをおくびにも出さず、エリカはコーヒーを差し出した。 「ああ、ありがとう」 「お昼もお仕事ですか? もう! 体を壊しちゃいますよ!! 今はおしまい!」  エリカはパソコンを取り上げて脇に置いて、さりげなく隣りに座った。 「秋山さん、て、どんな人がタイプなんですか?  やっぱり五十嵐主任みたいに仕事ができる人?」 「え? 何、それ、いきなり?」  エリカのストレートな質問に秋山は苦笑いだ。
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