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「だって……このところ、秋山補佐、いっつも忙しそうで、アタシが入るすき間なんてない……ですか?
恋人はアレ、なんですか?」
エリカは秋山のパソコンを指した。
「そんなはず、ないでしょー」
秋山が苦笑する。
「だけど、いっつも肌身離さずで、アタシ、パソコンに妬いちゃいます」
「何だよ、それ」
秋山はコーヒーをすすった。
「逆だよ、フラれちゃって恋人がいないから、パソコンするの」
「……アタシじゃ、パソコンの代わりになりませんか……?」
秋山が驚いてエリカを見ると、潤んだ瞳で、うつむいている。
「吉岡……?」
「あの、やっぱり、……ダメ、ですか?」
「いや、ダメ、とかじゃないけど……」
思いがけない展開に秋山はうろたえているように見えた。
エリカは明るく話をするも、切なげな視線をずっと秋山に投げかけている。
「す、少しでも考えてもらえたら……あの、嬉しいです」
途端に顔をピンクに染めて、いたたまれなくなったのか、そのまま会議室を後にした。
が、すぐに、エリカは戻ってきた。
バツが悪そうにうつむきながら。
案の定、秋山はパソコンを開いてパスワードを入力しているところだった。
エリカが戻った途端、秋山は勢いよくパソコンを閉じる。
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