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ーーよほど見られたくないのだろうか?
エリカは少しだけほっぺたを膨らませた。
可愛く媚びるような顔で拗ねる。
「すみません、コーヒー下げるの、忘れちゃって……
ってか、お昼休みまでお仕事しないでください、って、言ったばかりなのに!」
「ごめん、ごめん、つい……ね」
「もう! パソコンが憎たらしい。アタシ、ロックしたいなー」
「ロック……って。可愛いこと言うね」
秋山がくすくすと笑う。
「もう、秋山さんたら、仕事ばっかりで、少しは女子社員と仲良くした方がイイですよーー!?
こうなったら、実力行使しちゃいますから。
パスワード、変えますから教えてください!」
エリカは秋山に詰め寄った。
コケティッシュな表情のエリカ。
どういう風に媚を売れば効果的なのかをよく心得ていた。
「教えられないよ、ロックされたら困っちゃうじゃん?」
秋山は茶化すようにくすくすと笑う。
「んーーじゃ、当てちゃう!! それならいいですか?」
手を頬に当てて上目遣いで秋山を見上げた。
「できるものなら」
秋山も自信たっぷりに応じる。ーーエリカなんかに当てられるはずはない、とタカをくくっているのは明らかだった。
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