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秋山のパソコンのパスワードがわかったのだ。
一か八かの賭けだった。
それにしても、ここまでヨミが当たるとは。エリカは自分の推理が当たったことにちょっとした興奮を覚えた。
が、それも一瞬のこと。
すぐに気を引き締める。こうしてはいられない。
中に入っている文書を急いで検索して、目あてのファイルを探した。
幸運だったのは、秋山はパソコンの中をきちんと整理しているらしく、エリカはそれらしいデータをすぐに見つけることができた。
チラリとケータイの時計を見る。
多分、もって、せいぜいあと10分。桑原が引っ張れるのはそれぐらいであろう。
USBメモリを突っ込んで、データを落としていった。
ジリジリとしてデータがメモリに落とされているのを待つ。1秒が永遠にも感じられた。
いきなり背後からコツコツと足音が聞こえてきた。
ーーヤバっ! バレる!!
冷や汗がツツーと流れた。
メモリを抜き取って、パソコンをバッグに戻した瞬間だった。
エリカの目の前に、涼しげに微笑む秋山が立っていた。
「だ……大丈夫でしたか?」
声が上ずる。
カチンと音がした。
ーーしまった!!
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