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そうだ、京香も秋山とチェスの対局を何度かしたのであった。
すっかり忘れていたが。
遠い昔のことのようにしみじみとした気持ちになっていたら、エリカが得意満面の顔で言った。
「話しぶりからして、かなりのチェスオタクだ、って思ったんで、チェスのチャンピオンの名まえを調べておいたんですよー。
ひょっとしたら……って思って。
まさか、的中するとは思いませんでしたけど。ほぼヤマカンです。
そのチャンピオン、Rugunus って言うんですけど、22才の時にチャンピオンになったらしくて。
若き天才棋士、って絶対、秋山が崇拝してそうな気がしたんで。
ああ見えて、秋山って自信過剰のナルシストですから」
「……」
恐ろしい。
常々、敵に回すと恐ろしい女だとは思っていたが、京香は改めてエリカの恐ろしさを知った思いであった。
京香はハッとした。
「待って! 秋山補佐がトイレの近くから水をかけられたのって……」
「やだー、悟さんに決まってるじゃないですかぁ?!!」
「……だよね。 カレシ(確定)の仕業だよね……」
どこまできっちり罠を仕掛けてるんだ、この女は。
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