華麗なる復讐

84/86

570人が本棚に入れています
本棚に追加
/401ページ
賽は投げられた。 それから、今送信したドキュメントを印刷する。 出てきた書類は結構な厚さになった。それを茶封筒に入れる。 朝一番で送付するつもりだった。 *** その日の夕方、ケイコから電話があった。 電話の向こうの声はひどく興奮している。 「聞いた? GEC。今、上から下まで蜂の巣をつついたような騒ぎよ」 「ケイコの耳にも入ってるんだ」 「粉飾決算のカラクリが詳細にわかるようになってたからね。  うすうす危ないんじゃないか、って思ってた連中もこれほどとは、って驚いてる。  どうもね、……タレコミがあったらしいよ。  詳細な資料が添えられているから、絶対内部告発者だろう、って。  どうやって粉飾したか手に取るようにわかるし、絶対逃れられないだろう、って、すごい噂になってるよ。  もちろん査察も入るって」 それからケイコは声を潜めた。 「……アンタ、知ってたの?」 どう答えたらいいのか迷う。 タレコミをしたのは自分だと言ってしまうか? 「その話についてはノーコメントでお願いします」 「……」 ケイコは電話の向こうで黙り込んだ。 余程長い沈黙が続いた後。
/401ページ

最初のコメントを投稿しよう!

570人が本棚に入れています
本棚に追加