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「……ってかさ、アンタ、私にすっごく大きな借りがあるよね?
就職できたのも私のおかげだし、結局良太とラブラブになっちゃうし、そしてGECの件も内緒?」
「おっしゃることはもっともです」
京香は電話口で小さくなった。
「なんでアンタばっかり美味しい思いをしてるわけ!!」
「え?」
「私にも誰かいい人紹介しなさいよー!!」
「えーー? そっち? ケイコ、カレシとか面倒だからいらんとか言ってなかった?」
「うるさい。東大卒の女だって愛は欲しいのよッッ!!」
京香は声をたてて笑った。
ーーだよね! 「イカトウ」だってブスだって喪女だって関係ないよね。
仕事があったって、専業主婦を目指してたって関係ない。
女はいつだってドラマみたいな素敵な恋をして愛にあふれた人生を願ってるんだ!!
「わかったーーとびっきりのカレシが見つかるように私も全力を尽くして支援させていただきます」
厳かな声で言うと、これまた厳かな声が返ってきた。
「是非、前向きの検討を期待しております」
次の日の朝。
各テレビ局のニュースはGECの粉飾決算の報道を一斉に流していた。
GECの経営陣が一斉に頭を下げる記者会見の様子が映し出されている。
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