570人が本棚に入れています
本棚に追加
/401ページ
傘下の企業がどれほど影響を受けるかわからないけれども、それを含めたら、何百人、何千人もの人々の人生を狂わすことになったわけだ。
ーー私は、なぜ、あの資料を公にしたのだろう?
秋山を懲らしめたい、と言う気持ち?
秋山に対する怒りでやってよかったのだろうか?
これが、正しかったのだろうか……? 違う形で粉飾を正し、GECを救う方法が何かあったのではないか?
そもそもこんなごまかしがわからなかったなんて、私は一体どこを見て仕事をしていたのか。
自分で決断したこととはいえ、予想を遥かに上回る事態に、京香は冷静ではいられない。
粉飾が明るみになるにつれて、経営陣の辞職はもちろんのこと、上場廃止など予想以上の厳しい決定が下されようとしていた。
高度経済成長の一翼を担った老舗の大手一流メーカーの没落。そのきっかけを作ったのは間違いなく京香であった。
「秋山さんも逮捕されたし、会社もなくなっちゃっうよ……」
京香はしんみりと呟いた。
「ホントだねーー」
のん気な声がかぶさる。
「良かったのかなーーこんなことして」
「しょうがないよ! 悪いことしてたから天罰が下ったんだ!!
大体ねー、京香さんを騙そうとするのが悪いんじゃないか!」
最初のコメントを投稿しよう!