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「そうですかーーGECは倒産する、っていうのに、景気のいい会社もあるものなんですねぇ……なんだか、あっという間に事態が急展開してしまって、まだ、気持ちが追いつかないんですよ」
GEC崩壊にまつわる話を京香が佐々木にした時、佐々木は静かに言った。
京香の苦悩を察するような柔らかい口調だった。
「これで良かったんですよ。
粉飾は明らかなルール違反ですから、事情はどうあれ、それを指揮した人には相応の責任をとってもらわなければなりませんし、
そういう企業は市場から撤退してもらわなければなりません」
「それは、そうですけど……そこで働く従業員は何の罪もないのに、明日から仕事がなくなるんですよ」
京香自身、再就職の厳しさは身をもって感じていた。
佐々木が拾ってくれたから何とかなったとはいうものの、巡り合わせが悪ければ今ごろまだ就職活動していたことであろう。
あんな経験はもう二度としたくない。
なのに、結果的に、GECに勤める多くの従業員をそのような目に合わせることになったのだ。
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