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エリカがニコニコしながら相槌をうつ。
「じゃあ、ちょうどいいじゃないですか。人脈を広げるチャンスになるかもしれないですよ?
出会いは宝。合コンに行きましょうよ。
もし、いい男がいたら一石二鳥じゃないですか!?」
「いや、もう、結婚はコリゴリだわ。男に頼るとロクな目に合わないからね。
仕事も決まったし、杏もいるし、一人で気楽にやっていく方がずっといいわ」
結衣の表情はさっぱりと穏やかだ。
周りを威圧するような傲慢な態度はみじんも感じられない。ただ、母としての強さと誇りが彼女を内側から輝かせている。
京香は不思議な感慨を感じていた。
京香がガツガツと勉強に仕事に奔走していた頃、コツコツとヒールを響かせながら、颯爽と歩いていた結衣は、絵に描いたようなイケメンと結婚して優雅な専業主婦をしていたはずだった。可愛い娘も授かって女の幸せをつかんだはずだった。
それが、夫に浮気をされ、家を飛び出し、離婚し、今はなんとか(周りに多大なる迷惑をかけながらも)一人で踏ん張っていくやっていく準備がようやく整いつつある。
そんな結衣を、今度は京香が合コンに誘っているのだから、人生とはどういう巡り合わせになっているのかわからないものだ。
まあ、無理に誘うこともないか……なんて京香が思っていたら、
「ダメですっ!」
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