それぞれの道

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のんびりした良太の口調にへなへなと力が抜ける。 はー!? コンビニの社員なんて、またまたいかにもブラックな職場である。 「いや、やりたいならやったらいいと思うけど……っていうか、良太って前は靴屋で働いてたよねー、それはどうだったの?」 「あー、うん、楽しかったよぉ。 靴が大好きだったしさー」 「じゃ、何で辞めたの? バイトとかじゃなくて正社員だったんでしょ?」 「シフトがきつくて体壊しちゃって」 よくよく聞いてみれば、一日12時間以上入る、というようなこともザラだったらしい。 「何、それ、すっごいブラックじゃないの。  どうして労基署に相談しなかったのよ」 「だって、そんなことしたらクビになるかもしれないし」 「じゃ、せめてシフト減らしてもらうように言うとかさ」 「だけど、他に入る人、いないし。店長困ってるし、助けてあげなきゃ可哀想じゃん?」 「いや、でも、それは……」 シフトをやりくりするのはそもそも店長の仕事じゃないのか!? もちろん、京香はそこで働いていたわけではないから詳しい事情はわからない。でも、どう考えても良太の人の良さにつけこまれたとしか思えない。
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