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その二年後、結衣は短大で磨きをかけた容姿を武器に、あっさりと一流商社に就職を決めた。
コネだか何だか知らないが、このご時世に商社に潜り込んだのだから大したものである。
京香は自宅から出勤する結衣の姿を何度か目撃したことがある。
完璧にメークを施し、綺麗にカールさせた髪に、短めの丈のスーツから見事な脚を惜しげもなく晒している。
かかとの高いヒールでコツコツと歩く姿はモデルの様で人目を引いた。
短大時代から男の影が絶えない女だったけれど、この頃は、あちこちから見合いの話が来ていたはずである。
それも、医者だの弁護士だの、女なら興味を引かずにはいられないようなハイスペックの男たちが多かったらしい。
……というのも、母から聞いていた。
「京香ちゃんはまだ学生さんだから結婚なんて考えられないでしょうけど……ウチの子なんて、もう社会人でしょう。
そろそろ真剣に考えないと、嫁き遅れてしまったらどうしようって、娘が今から心配してるんですよ。
年がいってしまうと、赤ちゃんも出来にくくなるって言いますしね」
などと結衣の母は言ったらしい。
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