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「……アンタ、マジで結婚しちゃっていいの?
いくら寝るところと食べるものがないからって。意志とかプライドってモンないわけ?」
「意志とプライドじゃ雨露しのげないし、腹もふくれないもん」
こういうのをニート思考というのか?
良太と話しているうちに頭が痛くなって来た。
「いや、だから働こうよ?」
「うーん。それよりもここに居たい。ね、ボクと結婚しようよー」
何という甘ったれた男だ。それとも生まれついてのヒモ体質なのか?
「いや、追い出すし」
「えー、そんなこと言わずに泊めてよー。
じゃ、せめて今晩だけでも。何にもしないからさー」
京香はギョッとした。
いくら、その、……カレシいない暦=年齢で、正真正銘の処女とは言え、こんなヤツに初めてを捧げるわけにはいかない。
京香にだって女としてのプライドというものはあるのだ。
「当たり前だ! されたら即座に婦女暴行で警察呼んで現行犯逮捕だからね」
強めに脅かす。
それにしても、こやつは本当に居着いてしまうのではないだろうか?
まさかとは思うが良太のやけに人なつこいにこにこした顔をみているうちに京香は妙に不安になってきた。
何とか円満に出て行ってもらう方法はないだろうか。
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