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「ウチに居たいんだったら、ちゃんと家賃入れてよね?」
「えーー、仕事もないのに無理だよ。それに夫婦になるんだしそんな水臭いこと言わないでよ」
「じゃ、ハロワに行って探せぇ!……てか、夫婦じゃないし」
「えー、冷たいなぁ」
冷たいと言われる筋合いはないはずなのだが。
「あと、家のこともやってよね? 掃除とか料理とか。自分のことは自分でちゃんとやってよね?」
「えーー、やったことないもん。無理だよ」
せめてやる気ぐらい見せてもいいんじゃないんだろうか?
おんぶにだっこの気満々の良太に呆れ返る京香である。
もう少し脅してみることにした。
「わかった。じゃ、今すぐ不法侵入で警察呼ぶよ? いい?」
そう言えば家を出て行くかと思いきや、良太は、ちぇっ、と呟いてしぶしぶ言った。
「えーーしょうがないなぁ……わかったよぉ……やるよ……はぁ」
幼稚園児だってもう少しやる気をみせるだろうに、というぐらいぶすくれた返事だ。良太は何としてもここに居座るつもりらしい。
いい加減夜も更けて来たし、これ以上ごちゃごちゃ言うのが面倒になった京香は、
「じゃ、今晩はとりあえずそこに布団をしいて寝ていいから。
あ、あと、ここの片付けよろしくね」
とだけ言って、自分の寝室に引っ込んだ。
ひとまず今夜は良太の粘り勝ちらしかった。
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