使えない男

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次の朝。 目覚まし時計がジリリリリと鳴った。 昨日と同じ時間。同じ音。 とんでもない珍事が起きて、夕べは普段のペースがすっかりかき乱された。 そのせいで、今朝も寝不足だ。 それなのに、朝はいつも通り情け容赦なくやってくる。 昨日同様、ふあぁぁとあくびを一つして京香は布団から飛び出す。 頭をポリポリ掻きながら、トイレに向かった。ドアに手をかけた途端、がちゃりとノブが回ってドアが開く。 同時に良太が転がり出て来た。 「うわぁあ!」 思いがけない遭遇に、京香は思わずのけぞった。 「あ、京香さん、オハヨー」 良太はつぶらな瞳をしばたかせる。 何でもない顔をしてリビングまで歩いて行った。 ーーび、びっくりしたー! トイレに入りながら、まだドキドキしている胸を手で押さえる。 寝ぼけた頭でトイレに向かって、良太のことなどスコンと頭から抜け落ちていた。 ふらふら歩いていたら、いきなりトイレのドアが開いて人が出て来たので、京香は腰をぬかさんばかりに驚いたのだった。 「やばっ!」 トイレで自分のあられもない姿に気づいて小さく悲鳴をあげる。
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