572人が本棚に入れています
本棚に追加
首のところが伸び切ったデレデレのTシャツ(ノーブラ)一枚でうろついていた。
下にはズボンもはかず。パンツが見えそう、
いや、多分見えているに違いない。
ああ、しかもこのパンツは5年前に買ったゴムが伸びそうな綿100%の実用的なシロモノ。
紺と白の細いストライプで、腰まであるベージュのそれではなかったのは不幸中の幸いと言っていいのか?
便座に座りながら一人顔を赤くする。
状況が状況とはいえ、良太の存在をコロリと失念していた。
あまりに想定外の出来事で、京香の無意識が昨晩のことを現実の出来事と認めなかったのかもしれない……などと、自分なりに理屈をつけてみるが、我に返ってみれば、恥ずかし過ぎて、トイレの外に出るのはなかなか勇気のいることだった。
花も恥じらう独身適齢期の乙女が、男が泊まり込んでいるというのに、ヨレヨレTシャツに綿パンツ。
……
…………
とりあえず、ささっとトイレから出て、ダッシュで自分の部屋へ戻るべし。
京香はそうっとドアを細く開け、視界に良太がいないのを確認し、自分の部屋へ大急ぎで戻った。
ドアを閉めてようやく一安心。
ミッションは無事遂行された。
部屋の中で、素早く昨日のことを思い起こす。
最初のコメントを投稿しよう!