出戻り女の癇癪

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大学で企業経営や経営戦略について学んで、非常に面白かったのが、公務員をやめて民間企業を志望した理由だったので、京香自身、部署での仕事にやりがいを見いだしている。……といってもまだまだペーペーであったが。出来れば会社のカネで、アメリカの大学院に留学しMBAを取れたら、というのが次の目標であったりする。 日々、小さな不満はあるものの、概ね順調な人生であった。 そんな調子で毎日忙しく過ごすうちあっという間に3年が経った。 仕事にもようやく慣れて、少し余裕が出て来て、周りを見回してみると、二つのグループにぱかっと別れていることに気がついたのだった。 大学時代からカレシと付き合っていた友だちはそのまま結婚というゴールに向けて周到に準備を始めている。 そうでなくても、結婚を意識している女友だちたちは、積極的に出会いを求めてイロイロ動き出していた。 中には婚活を始める友だちも出現する。 その筆頭に、東大時代のサークル仲間であるノリコがいた。 「私、就職してよーくわかったの。30代の東大卒の女をもらってくれるような懐の深い男なんて日本にはいない。だから今のうちに何とかしなくちゃ!」 そんなことを言って、目の色を変えて男を物色している。
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