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プロローグ:後ろ向きな口癖
「……死にたい」
そんな言葉が口から飛び出す。
寒い夜。きつい上り坂を、重い足取りで進んでいる。
今日は12月22日。坂には家々が建ち並んでいて、クリスマス飾りやLEDライトのイルミネーションで彩られている。賑やかな明るい笑い声も聞こえる。
なぜか、その賑わいを聞くと、わたしの心は寒くなっていく。独りぼっちで暮らしているからか、ちょっとだけ羨ましく思ってしまう。
「ふぅ……」
今日も疲労困憊。会社からの帰り道。もう午後11時を過ぎている。
仕事はデスクワークなので、運動不足だ。この急な上り坂を登っていくだけで、額から汗が流れ出る。
ふと足を止めて、夜空を見上げる。月が寂しそうに浮かんでいる。
「死にたい……」
今日だけで何度もつぶやいてしまった。
いつの頃からか、これが口癖になっている。
口に出すだけで、本気で死にたいわけじゃない。
でも、つぶやく度に、
いつかは自殺してしまうのでは?
――と、心の奥底が疼く。でも、止められない。
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