桜と少女とプリン

1/4
前へ
/11ページ
次へ

桜と少女とプリン

 夜道を歩いていると、道端に桜の花びらを発見した。  どこにあるんだろう?  花びらが落ちている方を目で追っていく。  すると、小さな公園の真ん中に、大きな桜の木があった。  公園の街灯が桜を照らしている。  ん?  あれ?   子供?  桜の近くに、小さな子が立っていた。  こんな夜遅くに、子供が?  気になって、そっと、近づいていく。  普段着・・・・・・というよりはハイキングに出かけるような服装。そして、足元には大きなリュックサックが置いてあった。本格的な登山・・・・・・あるいは旅をするような装備だった。  夜空を見あげている子を間近で観察する。きれいな黒髪は、首元くらいの高さで切り揃えられている。たぶん女の子。  何か困っているのかもしれない。よし、声をかけてみよう。 「大丈夫?」 「だいじょうぶ、星を見ているの」  ショートヘアの子が、わたしにちらりと視線をむけて、すぐに視線を星空に戻していった。 「こらこら、もう子供は寝る時間だよ」 「もうちょっと見てから寝る~」  むむむ。  なんか、くやしい。  何か良い手は・・・・・・。視線を彷徨わせていると、手から下げているコンビニ袋に目がとまった。 「プリンあげようか?」     
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加