第一話

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「ちゃうちゃう! そういうんちゃうくて、喋った事もないしどんな人かも知らんから、一回見とこうかなーって思って!」 騒いでいる3人を落ち着かせるように、顔の前で両手を振りながら弁解する。 さすがに、いきなり来て 「どーも!4組の大倉でーす!早速ですが、岡本くんを笑わせに来ましたー!」 なんて、漫才のつかみみたいな事は言えない。 というか、そんな事言ってしまったら最後だ。 この女子達が3組中に言いふらして、変に盛り上がって勝手にクラスのイベントにされそう。 「なぁんだ。岡本くんならあそこだよぉ。 窓側の一番後ろの席に座ってるよ」 残念そうな顔をして、1人の女子が指を指して教えてくれた。 指の先を辿ると、窓際の一番後ろの席に、ぽつんと机に座る男子生徒が一人。 アシンメトリー風のミディアムショートで、ふわふわな髪型。 前髪を横分けにして、黒縁眼鏡をかけている。 面倒くさそうに、気怠そうに、ただひたすらスマートフォンを弄っている。 確かに、あれはみんなでわいわいやるタイプじゃなさそうだった。
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