342人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちゃうちゃう!
そういうんちゃうくて、喋った事もないしどんな人かも知らんから、一回見とこうかなーって思って!」
騒いでいる3人を落ち着かせるように、顔の前で両手を振りながら弁解する。
さすがに、いきなり来て
「どーも!4組の大倉でーす!早速ですが、岡本くんを笑わせに来ましたー!」
なんて、漫才のつかみみたいな事は言えない。
というか、そんな事言ってしまったら最後だ。
この女子達が3組中に言いふらして、変に盛り上がって勝手にクラスのイベントにされそう。
「なぁんだ。岡本くんならあそこだよぉ。
窓側の一番後ろの席に座ってるよ」
残念そうな顔をして、1人の女子が指を指して教えてくれた。
指の先を辿ると、窓際の一番後ろの席に、ぽつんと机に座る男子生徒が一人。
アシンメトリー風のミディアムショートで、ふわふわな髪型。
前髪を横分けにして、黒縁眼鏡をかけている。
面倒くさそうに、気怠そうに、ただひたすらスマートフォンを弄っている。
確かに、あれはみんなでわいわいやるタイプじゃなさそうだった。
最初のコメントを投稿しよう!