第一話

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両親の離婚が原因で、私が関西から関東へ引越しが決まったのは中学2年の時。 小学校からの友達のみんなと、当然一緒に卒業出来るものだと信じていた私には、受け入れ難い悲しい知らせだった。 新しい環境への、期待は確かにあったけど、不安と恐怖の方が遥かに勝っていて。 今、自分の傍に居てくれる友達と同じような友達が、この先私に出来るんだろうかって。 すごくすごく、不安だった。 初めて、転校先の中学校に登校した日の事は、今でも鮮明に覚えている。 学校へ着いた時からもうすでに緊張していて、先生に連れられて教室に入った時には心臓が破裂しそうなくらいバクバクしていた。 みんなの物珍しい視線が痛いくらい私に突き刺さって、とてもじゃないけど良い居心地とは言えなかった。 折角クラスメイトに話題を振って貰っても、ノリも話し言葉も関西と関東じゃ全く違うから、上手く返せない事が多くて。 家に帰ってからもっとこうすれば良かったって、落ちこむ毎日だった。 学校やガラリと変わってしまった環境に慣れるまで、頑張らなきゃ頑張らなきゃって、毎日自分に言い聞かせて過ごしていた事を思い出す。
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