第一話

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ーーー…あたしが、そうやったから。 …せやから多分岡本くんやって、素っ気ない理由が何かあるんとちゃうんかな…。 中学の頃を思い出して、心臓がぎゅっと痛くなる。 胸が苦しくなって、私は落ち着く為に俯きながら静かに深呼吸をした。 「…ちゃん?しーちゃん聞いてる?」 「へっ!?」 名前を呼ばれていた事に気付き、ぱっと顔を上げる。 「もぉー、さっきから何回も呼んでるのにさぁ」 私を呼んでいた女の子は、呆れたように笑っている。 慌てて「ごめんなぁー」と笑いながら誤魔化すように謝罪をした。 ここ最近は思い出さないように気を付けていたのに、あの頃の辛くて悲しい思い出で、頭がいっぱいになってしまった。 ーーー…岡本くんは、大丈夫なんかな…。 同じ転校生として気になってしまい、ちらりともう一度岡本くんの方を見る。 でもどうしていいかわからなくて、結局そのまま教室の入り口で会話を続けてしまった。
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