342人が本棚に入れています
本棚に追加
「ほら、最近転校してきたメガネの男子いるじゃん?
隣の、3組の岡本くんって子!志衣奈も聞いたことあるでしょ?」
このグループの中でも特に仲の良い、安田夏帆(やすだかほ)がすぐ私に教えてくれた。
夏帆とは2年のクラスになったばかりの頃、私と好きな芸人さんが一緒だと知ってすぐに声をかけて。
それから意気投合して仲良くなった。
同い年なのに年上みたいで、前世は私のお姉さんだったんじゃないかってくらい、面倒をよく見てくれる。
可愛くてしっかり者で何でも話せる、私の大切な親友。
「あー…なんとなく?」
にへらと笑ってそう答えると、仕方ないなーという顔で夏帆は笑った。
転校生の事は、本当になんとなくしか知らない。
隣のクラスに転校生が来た事は、みんなが噂してたおかげで知ってたけれど。
…でも私は。
転校生の事を面白半分で話題にしたり、野次馬根性で見に行ったりは絶対にしたくはなかったから。
なので転校生の岡本くんとやらが、どんな人物なのかは全く知らないまま今に至る。
「そいつさー。すっげー無口で無愛想で、今んとこ誰も笑ったところ見たことないらしいぜ」
最初のコメントを投稿しよう!