第一話

6/37
前へ
/604ページ
次へ
「ふぅん…。転校してきたばっかやし緊張してはるんと違う?」 興味ない顔で私は答えた。 まだ新しい学校に慣れてないだけだろう。 私も、同じ経験をしてるから痛い程分かる。 でも。 「…笑って過ごした方が、毎日めっちゃ楽しなるのになぁー…」 つい、ぼそりと小さな声で呟く。 同じ経験をしたからこそ。 毎日笑って学校生活を送ることの大切さも、痛い程わかっていた。 「……そうだよなぁー」 私の独り言が聞こえたんだろう、目の前に座っているまっつんが、うーん…と腕組みをし何かを考え混んでいる。 まっつんこと松本颯太(まつもとそうた)はクラス1のお祭り男子。 クラスで一番というか、学年で一番というか、学内一というか。 とにかく、面白い事が大好きでいつもクラスの行事を盛り上げてくれる、リーダー的な存在だ。 私とは1年の時からクラスが一緒だったのもあり、今では仲の良い大事な男友達。 珍しくまっつんが悩んでいるのでしばらく見ていると、突然悪戯を思い付いた子供の顔をして、ニヤリと笑いながら私を見た。 「いいこと思いついたわ… なぁ大倉、賭け、しねぇ?」
/604ページ

最初のコメントを投稿しよう!

342人が本棚に入れています
本棚に追加