第一話

8/37
前へ
/604ページ
次へ
クラスの後夜祭でまっつんとコンビを組んで漫才したのも、私の大切な思い出だ。 楽しそうに盛り上がっているみんなには申し訳ないけれど、賭け目的で笑わせに行く事に私は全く気乗りしない。 「えー…別にええねんけど、正直今じゃなくてもええんちゃう? クラスもちゃうし…なんも接点ないやん」 そう告げると私の反応が意外だったのか、みんなは「えー!?」と声を揃えてブーイングし始めた。 「そ、それにな?突然あたしらのノリで巻き込んだら悪いって! やから来年クラス一緒になったら挑戦さして!」 「なっ?」と笑って、みんなを宥めてようと試みる。 なんとかしてこの話は流したい。 でもその後どんなにフォローしても、一旦盛り上がってしまった話題の炎は簡単には消せなかった。 「賭けって言っても別に悪いことしてる訳じゃないですしぃ。何でダメなんですかぁ?」 私が余りにも否定し続けた所為で、まっつんが子供のように不貞腐れ始めた。 わざとらしく、あからさまに頬を膨らませて拗ねている。
/604ページ

最初のコメントを投稿しよう!

342人が本棚に入れています
本棚に追加