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「はん……ぶん?」
「ああ。
目が覚めてからのそのミカは、
記憶の一部が欠落していたり、少しだけ性格が変わっていたりと……
ともかく、寸分違わぬ生前までのミカではないだろう」
「そんなっ……!」
「いいか、ケンジ。
言うなれば……これはお前に対する罰なんだ」
その言葉に、心臓を貫かれた。
「考えてもみろ――
お前はミカを殺したんだぞ?
衝動的とは言え、その事実に酌量の余地はない。
元のような幸せな生活に戻れるだなんて、そんな虫の良い話があるか」
「………………」
トウヤの言う通りだった。
自分が犯したその過ちの重さを考えれば、
今そうしてミカが生きていてくれるだけで僥倖なのだ。
俺は納得した。
いや、充分だった。
こうして生きているミカの温もりを感じられるだけで、充分過ぎる幸せだった。
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