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私にはすごい双子の姉がいる。
すごい双子といっても私は全然で、顔以外は全く似ていない。
具体的には私の髪の色は黒くて、瞳は青でベッドにいつもいるから痩せている。姉の髪は綺麗な白にルビーを思わす赤い瞳で健康的な体つき。
髪の色が関係しているのか名前は私がクラナに姉はシラナ。
本でしか外のことはわからないけれどきっとスタイルがよくて色々な人に愛されているのかな。
その人は病弱でいつも寝ている私と違ってなんでもできる人だった。
運動神経もよくて勉強もできるから両親の期待をいつも背負っている。それを知っているから両親含む他の人が私に向ける視線は冷たいのもわかる。
私なんていなければよかったのにって。
それでも姉のシラナは私に優しく接してくれている。どうしてだろう、私なんかに構っている暇があるなら休めばいいのに。
あまり人に会ったことは無いけれど世界で一番愛してる姉にそう言ったことがある。
特に意味はなくて言葉通りのことを言っただけなのに姉はすごく悲しそうに
「あなたと会うのが一番の楽しみなのよ」
って言ってくれた。申し訳なさと嬉しさが私の胸の奥にあった。
そんなある日のこと。いつものように姉とお喋りを楽しんでいると、姉の表情が優れないことに気がついた。
私の前でしかあまり表情を変えない人だからわかりにくいけれど、素の状態で接している時間が長いからわかる。
やはり姉はとっても大変な生活をしているんだって。
「お姉ちゃん、疲れてるの?」
そう指摘すると姉ははっとして困った顔をした。言わないほうがよかったのだろうか。けれど疲れているのに楽しく話すことなんてできない。
「な、なにを言ってるの。お姉ちゃんは疲れてないよ。それよりもクラナは大丈夫なの?」
「私は平気だよ。お姉ちゃんが無理してるように見えて」
たぶん私に隠しきれなかったことで自分を責めているだろう。責めることなんて全くないのに。むしろ頑張っていることを誉められるべきなのに。
そう、だから私なりに姉を労おう。
「お姉ちゃん。まだ時間はあるの?」
「ええ、今日の予定はもう無いわ」
「それなら……」
私は自分の寝ている位置から横に少しずれて空いたスペースをぽんぽんと叩いた。
「一緒に寝よう。私はお姉ちゃんが頑張っているの知ってるから。抱きしめてあげる」
「……クラナ」
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