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これが私が姉にできる労い方。あまり部屋から、ベッドからすらも出られないから。
「わかったわ。一緒に寝ましょう」
姉は私の隣に入り、私がする前に抱きしめてきた。
「お、お姉ちゃんは普通に寝ててよ。私がやるから」
「なら一緒にすればいいのよ。そうすればお互い抱きしめられるわ」
「……もう」
先手をとられたけど、私も返せばいいだけ。姉のことを抱きしめ返す。
姉の体は私と違って温かくて安心する。
「あなたは暑くない?」
「うん。お姉ちゃんはあったかくて安心する」
それを聞いて安心した様子の姉は目を閉じた。
完全に無防備な状態の姉を見ていると寝息がもう聞こえてきた。
こんなに早く眠りにつくなんてどれだけ疲れていたのだろう。
私も姉の温かさに包まれて眠くなってきて目を閉じる。
「……二時間くらいか」
その一言で私の意識は覚醒したが、完全に目覚めたわけではないため目を閉じたまま。
「あら」
なにかと思ったら寝ている間、今も姉を抱きしめていた。
おそらく姉は起きて部屋から出てしまうのだろう。それは寂しい。本当はもっといたい。そんな気持ちで迷惑だとわかっていてもわざと離さないでいた。
けれど姉が優しく丁寧に外そうとしているので
「……お姉ちゃん、大好き」
その一言を呟いて、力を抜いた。姉が頑張るのをベッドの上から応援することが私の役目なのだから。
姉が部屋から出ていった後に目を開いて起きた。
「お姉ちゃん、頑張って」
そして私は愛しい姉が来るまで一人の時間を過ごすのだ。
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