交番ガールの章 ~壁~

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 ドラッグストアで大安売りしていた緑茶のペットボトルの箱を購入した事を思い出し、それをグラスに入れ氷も入れ、池村隊員に渡した。  彼はよほど暑かったのか、一気に飲み干した。 「暑いな」  窓の外を見ながら、げんなりしつつ呟く。これから日中にかけてもっと暑くなるだろう。まだ午前中だというのに、ぼんやりと蜃気楼が見える。 「そうね。でもこれからどんどん暑くなるんじゃない?」  悠子も冷たい緑茶に口をつけた。  警察官は夏も厚着だ。女性警察官は特に。下着のラインを市民に、見せぬようにと、防弾チョッキの着用を義務付けられている。白バイ隊員も、生地のあつい長袖、長ズボン。皮のロングブーツ。  交番勤務の警察官よりも、暑い筈だ。 「そうだな。嫌ンなるぜ……」  池村隊員は悠子にお茶のお代わりを促した。
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