1059人が本棚に入れています
本棚に追加
交番ガールの章 ~壁~
1.
7月。
子供達は夏休みが近く、浮かれ始める時期だ。まだ初旬だというのに早くも夏休みらしい雰囲気が漂っていた。
朝、ランドセルを背負って学校へ向かう子供達はいつもより、表情が嬉々としていた。プールバッグを手に持ち、はしゃぎながら歩いて行く。蝉も鳴き始めた。
さくら交番の前は住宅街。朝のラッシュが去ると、幼稚園や保育園の登園時間。母親に手を引かれながら歩いて行く姿を目にする。平和そのもの。
朝の十時。中野巡査と緒方所長は警らに出かけていた。悠子は一人交番に残り、書類仕事をこなす。
蝉の鳴き声が大きくなっていく。
(暑いな……)
そんな事を思っていると、バイクの音が聞こえた。
(ん?)
最初のコメントを投稿しよう!