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グレイはそんなルナを見てとても楽しそうにドレスのサイズを合わせていく。
スカートの腰回りにグレイの手が触れるとキツかった部分が緩み、グレイは軽くファスナーを上げていく。
手際よく仕度を進めるグレイを目の前にしながらルナは頬を膨らませ、じとっとした目でグレイを見た。
どうして、いっつもいっつもこの人はこんなことを…っ…
胸はコンプレックスだとわかっている筈なのに、グレイはいつもそこを指摘して意地悪を言う。
グレイは胸元のリボンを結んでやると、今だ不貞腐れた表情のルナを急に覗き込んだ。
漆黒の瞳がルナを真っ直ぐに見つめる。
「……お前のその怒った顔が好きだ…」
「………」
低く艶を帯びた声音。
その声にじわりとルナの胸が疼き、グレイに伝わってくる。グレイは目を見開いたルナの唇を軽く塞ぐ。
「その驚いた顔も…」
「……っ…」
「全部好きだ……」
口を塞ぎながら囁くグレイの言葉にルナは何も言い返すことが出来なかった。
いきなり好きだと言葉を囁かれ、ルナの顔が不意に泣きそうになって崩れる。
ルナの疼く胸にグレイの心も揺れ動く──
その急にきた甘い痺れにグレイも少し顔を歪めた。
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