22章 闇の終焉(前編)

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・ それは昨日の晩だった──。 ベッドで目を覚ましたらモーリスが心配そうに見つめ、そして安心した笑みを返して瞳に涙を浮かべていた。 そのモーリスの後ろで見開いた表情を一瞬崩し、震えた口元を見せないように背を向け部屋を出ていったグレイの姿をルナは呆然と見つめた。 「お目覚めになられてようございました。どこも辛い所はございませんでしょうかな」 モーリスに優しく問われて頷いた。周りを見渡せば今居る場所が、魔界の邸ではなくグレイと二人で過ごしていた人間の邸だと気付いた。 モーリスはほんの少しの間、眠ったままだったと説明した。 リドリーはどうしたのだろう── グレイが出て行った扉を見つめ、微かにそんな疑問が浮かんで唇を結ぶ。 あたしもリドリーもあの人に逆らい裏切った。 殺されても仕方ない。 あの時は目を開けている力もなくなり朦朧とする意識の中で色んなことを考えて諦めた── でもあたしはまだ生きている。 これは一体どういうことなんだろうか── 「ルナ様は旦那様の奥様になる方ですから……そう簡単には逝きません」 ホホッと笑い、胸の内の疑問に答えたモーリスをルナは驚いて見つめ返した。
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