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「あたしは一体どうしちゃったの…」
「ルナ様は……一度お亡くなりになられました」
尋ねてくるルナにモーリスは一呼吸置いて答えていた。
「亡くなった…」
「ええ。……砂になり、最期はお亡くなりになってしまわれた」
「……えっ…じゃあ今のあたしは魔物!?」
モーリスは目を伏せて首を横にふる。
「まだ魔物ではございません…人として亡くなったルナ様を、旦那様は人として生き返らせております」
「──……」
「たぶん、もう二度とはできぬ蘇生の術でございましょう──…」
「……っ…」
「旦那様ご自身もどうやって蘇生させたのか、存じ上げてはおりませんですから……」
モーリスは口にしながら何故かとても嬉しそうな笑みを浮かべていた。
「ルナ様…」
ルナは顔を上げてモーリスを見る。
「旦那様は、ただただ…悲しまれました……」
「──…」
「砂になったルナ様の抜け殻の服だけを抱き締めて、ただただ悲しまれた……」
「………」
「あの旦那様が初めて涙というものを心から流されのです──…」
「………」
「しかも大量に…」
ルナはそう呟いたモーリスの言葉に放心状態だった。
モーリスはそんなルナを見つめた。
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