95人が本棚に入れています
本棚に追加
・
「偉大とも云われる魔物……その闇の主の瞳に数多に溢れた涙は亡くなられ、灰となり散ってしまったルナ様のお姿を型どられた……」
「……っ…」
「ルナ様は旦那様に初めて大切な物を失った感情を教えられた唯一の存在でございます──」
「………」
「……では、私が節介をやくのはここまでですかな…」
「…え……」
モーリスはまたふふっと笑うと意味ありげな言葉を残して腰をあげた。
「さあ、もう少しお休みくださいませ。明日は忙しくなります」
「え!?モーリス?どこに行くのっ…」
ルナはモーリスを呼び止めた。
「私はあちらの邸で色々とやることがございますから」
「………」
「ルナ様はゆっくりとお体を休めてくださいませ」
モーリスは言いながら背を向ける。そしてあっと何かを思い出し、またベッドの近くまで寄ってきた。
「そうそう、これは内緒事でございますよ」
モーリスは口に手を当てルナの耳に寄せる。
ルナはそれに身を任せた。
最初のコメントを投稿しよう!