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ボソボソとしわがれた声がくすぐったい。
首を竦めていたルナはモーリスから聞かされた内緒事に次第に目を見開く。そして頬を微かに染めていた──
「モーリスっ!ルナに何を話したっ」
ドアがいきなり開いていた。
別の部屋にいたグレイが血相を変えて怒鳴り込む。
「何も話しては居りません」
「嘘を着くな! ルナに何か言っただろうっ」
「いいえ、言っては居りません。では私はこれで」
「……っ…」
言い切って逃げるようにその場を去ったモーリスにグレイは苦味渋った表情を露にしていた。
グレイはほんのり頬を染めていたルナを振り返る。
「モーリスから何を聞いた!?」
怒鳴るグレイの顔は赤く染まり普段の冷端な表情は見る影もない。
「な、何も聞いてなんかいないわよっ!」
「嘘を言うな! 何か聞いた筈だっ…お前の感情は俺にわかると言っただろう!」
「勝手に決めつけないでっ」
ルナは赤い顔で抵抗し続けるとシーツを被り背を向けてベッドに踞る。
「調子が悪いの!もう休むから出ていって!」
「……っ…」
シーツに潜り、中から怒鳴り返したルナの言葉にグレイは一瞬怯んだ。調子が悪いと言われたら手を出せない。
苛立ちも露にグレイは舌を強く打ち返すと何も出来ないまま部屋を出ていった。
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