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紫紺のローブを着ているわけじゃないので、あまり奥まで行けないかなと思案しながら進んでいく。
止められたら引き返せばいいかと結論を出し、関係者以外立ち入り禁止っぽい扉をすいすい通り過ぎていった。
教会の中庭に出て、さらに進むと宿舎だろうか。数人の神官が中を伺っている。
「失礼、魔術士ギルドのマスターの命で参りました。ローナ様を探しております。ご存知でしょうか」
建物の中にいるのは確認済みなのだが、念のために尋ねる。
「ああ、これは申し訳ありませんお待たせして。ローナ様でしたら中に。ただ、少々もめているようでして」
困りましたわ、と神官たちが顔を見合わせている。
「私が入ってもいい場所でしょうか?」
「ええ、それは大丈夫ですが」
では、と建物の中に入り、二階へ上がる。
廊下には宥める女性の声が響いていて、なかなかにカオスな状況だった。イベント発生的なノリで、ジルも連れてくればよかったと後悔した。
質素な廊下を進み、開きっ放しの扉から中を覗く。そこも質素な部屋だったが、清潔で好感が持てる。
お子様が部屋の角でしゃがみこみ、ぼろぼろ泣いている。それをローナの孫、紹介はまだだけど名前は聞いた、ロジーが宥めていて、ローナも一緒に声をかけている。
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